すぎぼっくり便りアーカイブ
【2014.8月号】
沖縄から家族で来られたボランティアスタッフさんに保育の感想を書いていただきました。
「気持ちいいー。」
「幸せだなー。」
「ありがとう。」
が、保育に入って一日目に感じた気持ちです。
これが毎日なんて、「うわー最高だな。私も、子どもになりたい!!きょうちゃんに面倒見てもらいたい。」(笑)と思いました。
さあ、そんな中スタートした、すぎぼっくり生活です。その中で今回、私がお話することは、公立の園との違いをお話させてもらうのが一番いいのかと思い私の心情を、まぜまぜでお話させてもらいます。
私は、公立幼稚園で、8年勤務させて頂いていました。5歳児の1年保育の園でしたので、少し偏った意見かもしれませんが、子どもの育ちの面や、子育てをして感じた事です。
まずは、施設が違います。コンクリートの建物の冷たさに、カラフルな遊具達。決められた時間に子どもが合わせて活動する。教師は、その時間に活動ができるように、誘導する。皆と同じ行動を決まった時間の中でやるので、集団行動が出来る子を育てることが目的。それは、子どもの気持ちや、やりたい事を我慢させ、集中するたっぷりの時間がなくて、子どもが消化不良になっていました。なのでいつも、「もっと遊びたい。もう片付けなの、嫌だ。」と言っていました。また、遊具や道具がなければ、遊べない。遊具で満足して人とかかわらない。保育では、保育者は環境を構成(子どもにやって欲しい、やってもらいたい活動の準備)したり、遊びをリードしたり、子どもの共同作業者としての、役割がほとんどを占めていました。しかし、そうすることで、子どもを私の意図した活動に向かわせるために、興味をひくようなことをしたり、仕掛けをしたりしていましたが、それが本当に子どものために良かったのかといわれれば、今となっては、すごく考えさせられます。子どもが、「今日は、何して遊ぶの?」「明日は?」と、何か決まった活動がないと不安で遊べない子もいました。
そして、森はというと、自然の色、温かみ、開放感、包まれている感じがあります。そこでは、自由な時間、子どもの時間が流れています。これまでだと、保育者的には、なにかして遊ばせなくてはと思いがちでしたが、自然の流れの気持ちよさを感じるには、なにもしないのが一番だと気づきました。子どもは、自ら育つし、育つ力を持っているのです。
それを、感じたのが、ある日の森での散歩の出来事です。ツルで出来たブランコに乗って遊んでいる子がいました。すると、後から来たY(息子さん)がひっぱり自分で使おうとしました。そこで、ついつい言ってしまいがちなのが「順番だよ。終わってから貸してもらおうか?」と言う言葉、ここは、見守る保育だと思い、言葉を抑え、見守ることに…。やはり、乗っていた子は引っ張られ気に入らない、ブランコから降りてケンカになりました。言葉のないケンカでしたが、終わると、気が済んだのか、ブランコに興味がなくなったのか、すっと立ち去るY。そのまま散歩の続きへ。なーんか、拍子を抜かされたのですが、Yのすっきりした顔と、とばっちりを受けた子のひょんとした顔をみると、「これで、よかったのだ。」と納得しました。
ここで、大人がでると、子どもの気持ちを代弁して、子どもも納得していないのに丸く収め、はい、仲直りとなり、きっと子どもには負の感情が残ってしまっていたと思います。その時に私は「見守る保育。」の方が、子どもの大人もハッピーになることを、学びました。あえて、何もしない。そこに愛があればいいこと。数ヶ月ですが、それを実感しています。改めて、子どもは子どもの世界で学んでいく。そして、与えられた学びよりも自分で学ぶ方が楽しいに決まっている(それは、大人も一緒ですよね。)ことにも気がつきました!
人に教えてもらった知識なりスキルもいいかもしれませんが、自分で興味や関心をもったタイミングで自分のペースで学ぶ。それができることは、大きいと思う。やはり、公教育では、みんなで一斉に取り組むことを目標にして、一人一人の思いなり、タイミング、個の違いは気にしない所があります。そして、そこで得た学びの答えは同じもの。また、学ぶ過程が大切なのに、公教育では結果をついついみてしまいます。「出来る、出来ない。」が、やはり全面に出てしまい、過程が大切にされていないことも、悲しいと思います。学ぶ過程を大切にする。親も、辛抱のいることかもしれませんが、子どもが自分で時間をかけて学ぶことで、答えはいくつにも広がる可能性を秘めています。
見守る保育とは、答えがない。答えは、子どもが持っています。素敵な教育だと思います。それを、学ぶことができたのは、本当にありがたいです。まだまだ、学びの途中ですが、鳥取へ来て、すぎぼっくりを通して皆さんに出会えてすごく幸せです。素敵なスタッフ、すぎぼっくりの仲間の下で、森に包まれ、Y家は沖縄を離れ、ここに来てよかったです。
まだまだ、沢山のことを学んで南国沖縄に持ち帰れるように、ここで、寒い冬を過ごすぞーっと思っているこの頃です。どうぞ、今後とも家族共々よろしくお願いいたします。
R Y